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Access Accepted第670回:例年とは大きく違った2020年の欧米ゲーム業界を総括する

Mine Sasaki

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で,日常生活が激変した2020年。多くのゲームイベントがオンラインになり,リモートワーク移行でスケジュールがずれ,開発が遅延するゲームが続出したりなど,ゲーム業界もさまざまな変化に見舞われた。同時にまた,欧米で「第9世代」とも呼ばれる新たなコンシューマ機が,例年に比べればどこか静かではあったが無事に船出している。今回は,自宅での執筆作業を貫き,犬の散歩とフィットネスバイクを使った運動しかしてこなかった筆者の目から見た,今年の欧米ゲーム市場の動きを振り返ってみたい。

ゲームイベントが軒並みデジタルに

 新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)で幕を開けた2020年も,あと半月ほどで終わる。2021年以降の社会も,これまでとは違うものになっていくことは間違いないだろうが,世界的な感染の拡大に伴って,我々の日常やゲーム業界を取り巻く環境も,2020年の初めには想像もできなかったような規模で,あっという間に大きく変化した。

 本連載で初めてCOVID-19を取り上げたのは,2月3日に掲載した第635回「新型コロナウイルスがゲーム業界に与える影響」だった。筆者は1月にイタリアで行われた「デイメア: 1998」イベント取材から帰ったばかりで,イタリアでは筆者が帰った直後から感染拡大による移動制限措置がとられることになる。
 取材前にはすでにイタリアだけでなくスペイン,ニューヨークなどで感染が始まっていたのだが,記事を書いた2月初めの段階は,横浜に寄港したクルーズ船に対する日本政府の対応を,欧米メディアが他人事のように批判していた時期で,筆者もまだ遠い国の出来事だと捉えていたように記憶している。2月中旬には,Blizzard Entertainmentの「ハースストーン」の取材でロサンゼルス近郊のアナハイムに飛んだが,このときも入国制限などは行われておらず,日本から来たジャーナリストやインフルエンサー,Blizzardの担当者などと挨拶を交わした。

多くの大会が中止や延期,あるいはオンラインでの開催に変更され,大きな打撃を受けたのがeスポーツ市場だ。ただし,世界に先駆けて感染拡大の阻止成功をアピールする中国では,マスク着用を義務付けたうえで,eスポーツイベント「World 2020」を11月に上海で開催した。「World 2020」には,6000人の観客が集まったという
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 雰囲気が変わったのは2月25日,CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が,「状況はパンデミックに近付きつつある」と発表してからだろう。その翌日,筆者はMicrosoftが開催した「Ori and the Will of the Wisps」プレイイベントに参加しているが,振り返ってみると,これが2020年最後の従来型イベントになってしまった。
 2月28日には,毎年恒例のゲーム開発者会議Game Developers Conferenceを運営するInforma Techが,苦渋の決断を経て開催直前に延期を発表。詳しくは3月9日に掲載した本連載の第638回「新型コロナウイルスが与えるゲームイベントへの影響」でもお伝えしたとおりだ。さらに3月11日には,対応の遅さが批判されていたWHO(世界保健機関)がようやくCOVID-19がパンデミックに至ったことを宣言。3月13日にはアメリカ政府が緊急事態宣言を出して事態は急展開し,各国の医療が危機に瀕する様子が連日報道される,いわゆる「第一波」が世界中を揺るがせた。

 ゲーム業界にとってある意味,不幸中の幸いだったのは,Sony Interactive Entertainmentや著名なゲームジャーナリスト,例えばジェフ・キーリー(Geoff Keighley)氏などが,すでにE3 2020への参加見合わせを発表していたことかもしれない。E3 2020開催中止の正式発表を受けてキーリー氏は,5月から8月までの4か月間にわたって断続的にオンラインで関連イベントを開催する,「Summer Game Fest」をただちに発表しており,代替となるデジタルイベントへの移行はスムーズだった。

 4Gamerでも専用ページを設けて,「Summer Game Fest」関連のイベントで発表された新情報を紹介しているが,E3が開催される予定だった6月だけでも,6日の「Indie Live Expo 2020」に始まり,「Destiny 2 Reveal」(10日),「IGN Expo Day」(11日〜13日),「PS5 – THE FUTURE OF GAMING SHOW」(12日),「Escapist Indie Showcase」(12日),「Guerrilla Collective」(15〜17日),「PC Gaming Show 2020」(15日),「Future Games Show」(15日),「EA Star Wars: Squadron Reveal」(16日),「Upload VR Showcase」(17日),「Pokémon Presents」(17日),「Steam Summer Festival」(17日〜23日),そして「EA Play Live」(19日)などが立て続けに実施され,大規模ゲームイベントのオンライン化を強く印象づけた。

デジタル化が促進された2020年のイベントの中でも,とくに大きな存在感を発揮したのが「Summer Game Fest」だった。主催したジェフ・キーリー氏は,「The Game Awards」のホストでもある
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静かすぎる船出となった新世代コンシューマ機

 これまでのイベントでは,取材のために朝から夕方まで広いショーフロアのブースを駆け回り,夜は徹夜に近い作業で原稿を書いていた。一晩で記事を5本書ければかなり多いほうだ。独占的なインタビューやAAAクラスの注目作ともなれば担当者も力が入り,より多くの時間を費やすことになる。そのため,本来なら紹介したいゲームもあるのに時間がないという事態に陥り,結局,いくつかのタイトルを涙を呑んであきらめる。これは,おそらくどのメディアでも同じだろう。

 その一方,デジタルイベントなら,たとえ短い時間だとしても,ゲーム紹介は目の前の画面で行われる。向こうのタイムゾーンに合わせる必要はあるものの,スタッフを揃えられるならフォローは容易であり,そのため,今夏に行われた発表については,注目作ばかりでなく,相当数のゲームまでカバーできたと思っている。さらに,Microsoft TeamsやZoomといったWeb会議サービス使って,特定のメディアにさらに突っ込んだ情報を公開したり,開発者へ質疑応答を行ったりといった非公開オンラインイベントも盛んに行われ,筆者の体感だが,忙しさはこれまで以上だった。

ジャーナリストとして毎年何度もゲームイベントに参加していた筆者としては,行くたびに疲労困憊してイヤになってしまったことさえ懐かしく感じられる。ゲームイベントがデジタル化することの得失はいろいろあるだろうが,写真のようなメーカーとゲーマーの一体感はデジタルイベントに欠けている点だろう
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 本連載の第649回でもお伝えしたように,アメリカからヨーロッパにまで波及したBLM(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命は大切)運動がゲーム業界にも影響を与えた。他業種に比較して雇用人口が多いとは言えない黒人系のゲーム開発者にスポットライトが当たったり,BLM運動に共感したゲーム企業やデベロッパのチャリティ活動が行われたりしたことも記憶に新しい。
 今年の夏はBLM運動だけでなく,ポリティカルコレクトネスに絡んだ出来事も少なくなかった。Ubisoft Entertainmentのクリエイティブディレクターや,Paradox Interactiveが販売する予定の「Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2」に携わる脚本家がセクシュアルハラスメントの疑いで解雇されるなど,ゲーム業界で働く女性の問題にスポットライトが当てられたのは,本連載の「欧米ゲーム業界に起きる#MeTooムーブメント」でお伝えしている。

 「Summer Game Fest」関連の最後の大きなイベントは8月の「gamescom 2020」であり,その終了を以て,ゲーマーの注目は市場投入の迫るPlayStation 5Xbox Series Xに注がれていくことになった。もちろん,「アサシンクリード ヴァルハラ」「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー」,そして「サイバーパンク2077」など,年末のショッピングシーズンに向けた注目作も,例年同様,顔を揃えている。

2017年の「Xbox One X」のローンチ当日の写真。今年はこうした光景が報じられることもなく,新世代のコンシューマ機市場は比較的静かに船出した
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 そして11月,欧米ゲーム市場はついに「第9世代」とも呼ばれる新世代コンシューマ機の時代に突入。ただ,個人的には少し失望感も覚えた。性能に比べて戦略的な価格帯であり,その点に文句はないが,供給量が少なく,購入を望む消費者に行き渡っていないようなのだ。これもまた,COVID-19によるグローバルサプライチェーンへの影響だろうか。

 そうしたこともあって,北米ではテレビや街頭での宣伝は控えられ,話題性の高さの割には,業界とゲーマーが一体になったお祭りムードに欠けている雰囲気だ。筆者自身も,今のところPS5を買える気配もなく,専用タイトルが出揃う来年以降に本気モードを出すかといったところ。

 以上のように,COVID-19の影響もあって,これまた例年とはかなり趣の異なるネガティブな総括になってしまったようだが,巣ごもり需要もあって,各ゲーム企業は好況を迎えており,10月の時点で,すでに昨年1年間の総売り上げを突破していたと報告する調査会社もある。ショッピングシーズンの結果はまだ発表されていないが,おそらく,史上最高を記録しているだろう。YouTubeの発表では,ゲーム関連動画やライブストリーミングも活況を呈している。この勢いのまま,よい形で2021年を過ごしていけることを期待したい。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。

 来週の「奥谷海人のAccess Accepted」は,筆者取材のため休載します。次回の掲載は,12月28日を予定しています。

著者: ” — www.4gamer.net

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ゲーム業界ニュース

【ACADEMY】プレイヤーとアバターの関係を利用して,より魅力的で成功するゲームを作る –

Mine Sasaki

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アバターは,より濃密で満足度の高いゲーム体験を提供し,プレイヤーの忠誠心を刺激する鍵となる。

 プレイヤーは自分のアバターと強く複雑な関係を築くことができ,それぞれはアバターはユニークでゲームデザインに重要な影響を与えることがある。

 Bioshock Infiniteをプレイすると,刺激的で深い感情移入を体験できる。プレイヤーはSkylinesに乗って浮遊する都市の周りを走り,銃器や魔法の呪文を使って敵と戦うことができる。また,都市から逃亡した相続人とのつながりを深め,主人公の目的である悲惨な過去を明らかにしていく。

 しかし,DeWittは人間ではない。どこから見ても,彼は声と一対の宙に浮いた手に過ぎない。しかし,プレイヤーとBookerとの間に生まれる関係性によって,このような体験が可能になるのだ。

プレイヤーは,アバターを理想の自分を表現したものとして見たり,その選択に腹を立てたり,恋に落ちたりすることもあるかもしれない

 プレイヤーとアバターの関係はさまざまな形で現れる。World of Warcraftで新しいキャラクターを丁寧にカスタマイズするのに何時間もかける人もいれば,Mirror’s Edgeで屋上から飛び降りて壁にしがみつく感覚を楽しむ人もいるかもしれない。また,プレイヤーはアバターを理想の自分を表現したものとして見たり,アバターの選択に腹を立てたり,アバターに恋をしたりするかもしれない。

 プレイヤーが確立するさまざまなタイプのつながりと,プレイヤーの経験に与える効果の数は,圧倒的なものに思えるだろう。以下の記事では,インタビューや調査からスケール検証や実験まで,このトピックに関する28の研究から得られた知見をまとめている。ゲームデザイナーにもユーザー研究者にも,我々が収集した情報が役に立つだろう。

具体化

 ゲームセッションに入って数分もすると,プレイヤーは自分がゲームの中にいるような,あるいは少なくともその一部がゲームの中にいるような感覚に陥ることがある。Forza Horizonではハンドルを握っているのが自分の手のように感じたり,Sekiro: Shadows Die Twiceでは胸への危険な一撃から逃れたように感じたりする。具現化体験もまた,さまざまな形をとることができるが,そのほとんどは望ましいものだ。プレイヤーは,Spider-Manのようにニューヨークを駆け抜けたり,ソリッドスネークのように敵の基地に潜入したり,Stardew Valleyでベリーを拾っているような感覚を味わいたいと思っているのだ。

Hugo Aranzaes氏
【ACADEMY】プレイヤーとアバターの関係を利用して,より魅力的で成功するゲームを作る

 具体化の感覚を促進するというのは,最初はとても簡単なことのように思える。ゴルフゲームをクラブのようなモーションコントローラでプレイするように,自然なインタフェースを使うことで,プレイヤーは自分がティーボックスにいるように感じることができる。さらに,アバターの性別や外見を選べるなどのカスタマイズオプションは,アバターの身体が自分の延長線上にあるような感覚を高めてくれる。

 しかし,研究ではほかにも予測しにくい要因があることが分かっている。キャラクターが持つスキルや特殊能力,ゲーム内の報酬など,より抽象的な特徴をコントロールすることは,具体化を促進する傾向がある。リアルなアバターを使うことも同様の効果があるようだ。

 バーチャルリアリティの場合,アバターがただ浮いているだけのコントローラではなく,完全な身体の形をしていると,人々は自分自身の延長線上にあるものとして認識する可能性が高くなる。また,これによりコントロールしやすくなり,パフォーマンスを向上させることもできるが,操作に遅延があると,このような感情の多くは消えてしまうだろう。

 観客に正しい反応をさせるのは,少し難しい場合がある。たとえば,映画製作者は,ロマンティックなメロディを流したり,キャラクターの目に涙を浮かべて,視聴者の感情的な反応を強めるが,視聴者にそれを操作しようとしているのがバレると,逆効果になることがある。アバターの表現力が具体化の障害になると,同じようなことが起こる可能性がある。

ゲームセッションに入って数分もすると,プレイヤーは自分が(あるいは少なくとも自分の一部が)ゲームの中にいるように感じることがある

 雰囲気のあるホラーゲームAmnesia: The Dark Descentのプレイヤーは,モンスターを見るたびに,アバターの息が荒くなり,心臓の鼓動が加速する音を聞いていた。これはゲームをさらに怖くするためのものだった。その代わりに実験では,アバターがプレイヤーの体の延長線上にあるように感じなくなり,恐怖心が軽減されることが分かった。

 これらの合図は設定やアバターが目撃しているものと一致していたが,プレイヤーの反応と比較して大げさになっていたのだ。その結果,アバターとプレイヤーの違いがより明確になり,自分がゲームの中にいると 感じにくくなったのだと思われる。

魅力と好感度

 アバターデザインにリアルなアプローチをすることは珍しくないが,多くのキャラクターは,美しい目,魅力的な表情やマナー,健康的で丈夫な体など,魅力的な特徴を与えられる傾向がある。これはプレイヤーの注意を引くための効果的な方法かもしれないが,研究によると他にも興味深い効果があることが分かっている。

 プレイヤーは身体的に魅力的なキャラクターの近くに立つことで,その特徴に感心しやすくなるだけでなく,より親しみやすく好感が持てるようになるのだ。キャラクターが好きなプレイヤーは,通常,キャラクターに成功してほしいと思うので,これは重要なことかもしれない。また,キャラクターの感情を理解するのが上手になっているようで,ストーリー主導型のゲームでは,より感情移入しやすくなるかもしれない。

FalloutのようなRPGでは,アバターの外見やキャラクターの特徴を細かくコントロールできる
【ACADEMY】プレイヤーとアバターの関係を利用して,より魅力的で成功するゲームを作る

 研究によると,好感の持てるアバターだと,プレイヤーがゲームの中にいるように感じやすくなり,ゲームプレイ中の興奮やポジティブな感情を高めることにつながるという。さらに,魅力的で好感の持てるアバターと一緒にプレイすることで,流れの体験が強化され,オンラインゲームへの忠誠心が促進される。

 最後に,魅力的で好感の持てるキャラクターを作るには,魅力だけが唯一のポイントではない。プレイヤーにさまざまなカスタマイズオプションを与えることも重要だ。バーチャルリアリティのアバターは,顔の表情(鏡で見ることができる)で感情を表現したり,機械的なゲームにストーリーを加えたりすることで,より好感度を高めることができるのだ。

物理的な類似性

 プレイヤーは,Fallout 4では冷酷な自警団The Commonwealthになったり,どうぶつの森では友好的な村人になったりと,ゲーム環境に没頭したいと思っている。そのため,自分に似たアバターを作ってしまう人が多いのも無理はない。

研究によると,好感度の高いアバターは,プレイヤーがゲームの中にいるように感じやすくなるという

 アバターは,最終的にプレイヤーと同じ顔の構造と体型を持つことができる。また,ゲームが許す限り,似たような服を着ていたり,同じような傷や刺青をしていたりすることもある。プレイヤーがアバターと身体的に似ていると感じるためには,カスタマイズオプションが必要なのは明らかだ。しかし,研究によると,キャラクターのスキルを選択できるようにすることでも,身体的な類似性を感じることができるようになるかもしれない。

 アバターに似ている,あるいは少なくとも一定のレベルで似ていると感じることは,プレイヤーの体験に興味深い効果をもたらす。たとえば,自分のアバターが自分に似ていると感じる人はゲーム内のタスクに力を入れる傾向がある。また,自分がゲームの中にいるように感じたり,操作方法をより直感的に感じたり,ゲーム全体がより楽しいと感じたりする可能性が高くなるのだ。

 しかし,類似性がネガティブな感情を誘発することもある。自分に似たアバターでSkyrimをプレイした人は,洞窟に避難しようとしている攻撃的な民間人のグループを攻撃したあとに罪悪感を感じたという。たとえば,プレイヤーに容認できない2つの選択肢から選択させると,類似性を感じにくくなる傾向があるが,これはプレイヤーのアイデンティティにとって道徳性がどれだけ重要かに依存する。

希望による識別

 プレイヤーはカスタマイズオプションを使って,理想の自分を作ることもできる。健康的な体を作りたいというニーズを満たすためにアスレチックな体型をアバターに与えたり,実際の生活の中でのスタイルを試す前にエレガントな服装にしたりすることもできる。しかし,理想の自分とは身体的な属性だけではない。

自分に似たアバターでSkyrimをプレイしていた人は,攻撃的な民間人を攻撃したあとに罪悪感を感じていた

 また,プレイアブルキャラクターのスキルや美徳は,称賛に値するものであるとみなされ,真似をすることにつながることもある。たとえば,プレイヤーはThe Witcher 3で高潔なキャラクターとしてプレイし,これを他人に親切にする動機付けとみなすことがある。

 また,ある種のプレイヤーの経験にも影響を与える可能性がある。理想的な自分の姿でプレイすることで,ゲーム内での行動がプレイヤーの実際の意図をより典型的に感じられるようになる傾向がある。言い換えれば,プレイヤーはより自律性を感じることができ,これがより深く,より有意義なゲーム体験につながっている。また,操作がより直感的に感じられるようになり,ゲームへの没入感,ポジティブな感情,そしてゲームをプレイするモチベーションにつながってくる。

 同様に,希望的認識もまた,プレイヤーからコントロールを奪うことで効果を得ることがある。たとえば,不可能な選択に直面することで,アバターのようになりたいという欲求が減退するといった具合だ。

視点を奪う

 アバターとの関係が発展するにつれて,プレイヤーはキャラクターに起こることをあたかも自分に起こっているかのように体験するようになるかもしれない。―アバターが自分に似ている,あるいは自分自身の理想的なバージョンに似ていると認識されれば,その関係はより強化される。たとえば,Bioshock Infiniteのプレイヤーは,Booker DewittがElizabethに起こるかもしれないことに罪悪感を感じていることを知っているだけでなく,Elizabethを失った瞬間に罪悪感を感じるのだ。

【ACADEMY】プレイヤーとアバターの関係を利用して,より魅力的で成功するゲームを作る

 アバターとプレイヤーの類似性が複雑であればあるほど,その効果は変化に富み,意味のあるものになる。プレイヤーは,似たような背景を持ち,同じ経験や苦労をしたアバターを操っていることに気づくかもしれない。そうすることで,プレイヤーは自分は1人ではないと感じ,自分の人生を振り返るきっかけになるかもしれない。

 アバターはプレイヤーと同じ価値観を示すこともある。多くの人が守らなければならないと感じる類似性は,ゲーム内での選択に影響を与える。たとえば,プレイヤーはFar Cry 4で村を守ることを選ぶかもしれないが,それは主人公がすることではなく,自分のモラルコードを反映させたいと思っているからだ。

多次元的な人間関係

 ビデオゲーム以前は,人々はスクリーンに映る見知らぬ人を見たりその言葉を聞いたりして何時間も過ごしていた。時間が経つにつれ,人々はそのようなパーソナリティを自分の身近な存在として見るようになった。アバターとプレイヤーとの間には,いわゆるパラソーシャルな関係が生まれることもあるが,ゲームのインタラクティブ性は,その過程をより興味深いものにしている。

ある研究によると,現実的なキャラクターがうつ病や不安,自信喪失などの症状を示すとき,人々はより多くの懸念を表明することが明らかになったという

 インタラクティビティによって,プレイヤーは受動的な観察者ではなくなる。プレイヤーはアバターの服装を決めたり,アバターの発言に影響を与えたり,アバターのために選択をしたり,プレゼントを贈ったりすることもできる。その結果,プレイヤーとアバターの関係は完全に社交的な関係のように見えてくるのだ。

 報告によると,プレイヤーは熟練したカリスマ的なアバターに力をもらったと感じたり,プレイアブルではないキャラクターの美徳に感心したり,味方に感謝の気持ちを感じたり,名誉ある敵に敬意を示したりすることがある。しかし,彼らはまた,ゲームが保護下に置いてきたキャラクターの安全のために責任を感じたり,別のキャラクターに恋心を抱いたりして,彼らとの関係を発展させようとすることもある。

 それぞれのタイプの関係性が,ゲーム体験に異なる影響を与える可能性がある。たとえば,自分のアバターの幸福に責任を感じている人は,そのキャラクターを理解することに関して,よりポジティブな感情を経験する傾向がある。また,アバターが自分の目的を達成するのを助けるだけでなく,ストーリーの個人的な意味合いについても考える可能性が高くなる。

 興味深いことに,プレイヤーは自分のバーチャルな弟子を無防備だとは思っていないようだ。それにもかかわらず,あまりうまくいっていないように見えるキャラクターを守る可能性が高くなっている。たとえば,ある研究によると,現実的なキャラクターがうつ病や不安,自信喪失などの特徴を示している場合,人々はより多くの懸念を表明することが明らかになった。

アバターは,別の世界に飛ばされたような感覚を高め,他者とのつながりを感じたいという欲求を満たすことができる

 一方で,架空のキャラクターへの恋愛感情を抱くことができるのは,さまざまなメディアがその恩恵を受けてきたからだ。しかし,ストーリー主導型のゲームの多くが強力な恋愛プロットを含んでいるのは事実だが,ビジュアルノベルほどこのテクニックを習得しているジャンルはない。

 デートシミュレータのような恋愛ゲームは,一人称視点を採用し,アバターの特徴をほとんど隠しているため,自分が主人公であることが分かりやすい。しかし,キャラクター化が,ナレーションと画面上の対話に限られている場合でも,アバターとプレイヤーの関係は無視できない。

 アバターはある意味,プレイヤーとプレイアブルではないキャラクターとの関係における中間的な存在であり,デートシミュレータには欠かせない要素となっている。たとえば,ある研究では,自分のアバターに共感を覚えたり,目標達成の手助けをしてくれると感じたりすると,ゲーム内の恋の相手との関係性がより強くなる傾向があることが分かった。

結論

 アバターは,より強烈で満足度の高いゲーム体験を提供する鍵となる。アバターは,別の世界に移動しているような感覚を高め,より高い機関感を提供し,他人とのつながりを感じたいというニーズを満たすことができる。その過程で,ゲームをより楽しく魅力的なものにし,プレイヤーをより忠実なものにする。しかし,それを活かすためには,プレイヤーと操作するキャラクターとの関係性を理解することが重要になってくるのだ。


Hugo Aranzaes氏はゲーム心理学者で,ゲームやアニメーションに関する科学的な記事をさまざまなWebサイトで執筆している。氏はゲームのUX研究とストーリーテリングの心理学に強い関心を持っている。また,スタジオジブリ,バットマン,ゼルダの伝説の大ファンでもある。氏はTwitterの
@hugoaranzaesで見つけることができる。

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら



著者: “jp.gamesindustry.biz編集部 — jp.gamesindustry.biz

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Mine Sasaki

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CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINEの全セッション情報が公開に –

Mine Sasaki

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 CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINE実行委員会は,2021年1月30日と31日に開催する開発者向けカンファレンス「CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINE」の。セッション情報を公開した。基調講演は「FINAL FANTASY VII REMAKE 解体真書」で,スクウェア・エニックスの北瀬佳範氏と浜口直樹氏によって,「FINAL FANTASY VII REMAKE」の制作を決断した理由や,リメイクするあたって重要視した点などの開発秘話が披露されるという。

 また,セガの鳩山路彦氏による,「『龍が如く7』背景事例紹介〜よりリアリティのある街を目指して〜」という講演も行われ,龍が如くの街がどのような工程で作られたのかなどが紹介される。

 なお,CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINはPeatixでの登録を行えば無料で聴講可能だ。公式サイトでセッションの情報を確認しつつ,参加を検討してほしい。

CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINE 受講申し込み受付中!
【続報】 開催直前!全セッション情報公開!!

■開催日時:2021年1月30日(土)〜31日(日) オンライン上にて無料開催

2021年1月30日(土)〜31日(日)に、日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けのカンファレンスとして「CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINE」(主催:CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINE実行委員会、共催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)を開催いたします。

全セッション情報を公開しました!
セガや福岡eスポーツ協会、サイバーコネクトツー、ガンバリオン、レベルファイブなどによるCEDEC+KYUSHUでしか聞けないセッション多数!
さらに、スクウェア・エニックス 北瀬氏と浜口氏による基調講演も実施!

CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINEで実施される全セッション情報をWEBサイトにて公開いたしました。
詳しくはこちら(http://www.cedec-kyushu.jp/2020/session.html)をご覧ください。

■お申し込みはこちら! https://peatix.com/event/1750894/view

招待セッション VA(ビジュアルアーツ)
「龍が如く7」背景事例紹介〜よりリアリティのある街を目指して〜
登壇者:株式会社セガ 鳩山 路彦氏

講演内容:
「龍が如く7」の背景制作事例紹介となります。
龍が如くの街は、実際にゲームマップとして構築されるまでにどのような工程を踏んで作られていくのか?龍が如く7でモチーフとなった横浜の街を例に、現地での取材やラフモデル構成の方法、実機データ作成における仕様や効率化への取り組みなど、街の制作に関わる数々の事例をドラゴンエンジンの制作フローに沿った形で紹介します。
短い製作期間という制限の中で、どのようにクオリティとスピードを維持してきたか、シリーズを通して蓄積されてきたノウハウなどをお伝えできればと思います。

招待セッション BP(ビジネス&プロデュース) AC(アカデミック)
ゲームがスポーツになって見えてくるもの
登壇者:福岡eスポーツ協会 中島 賢一氏

講演内容: eスポーツという言葉が世の中に認知されるようになってきました。
競技シーンで語られ、プロ選手が興行を盛り上げ、これに関連するビジネスも拡大するなど世界的にみても注目されています。しかし、eスポーツはそれだけでしょうか?
ゲームがスポーツと呼ばれるようになった本質的価値はそこだけではありません。
本セッションではeスポーツが持つポテンシャルを『地域の活性化』に活用するというこれまでにない切り口で事例をベースに紹介します。

株式会社スクウェア・エニックス 北瀬氏と浜口氏による基調講演も決定!
FINAL FANTASY VII REMAKE 解体真書
登壇者:株式会社スクウェア・エニックス 北瀬 佳範氏/浜口 直樹氏
モデレーター:株式会社レベルファイブ 日野 晃博

講演内容:
『FINAL FANTASY VII REMAKE』の制作を決断した理由や、リメイクするにあたって重要視した点などの、開発秘話をトークを交えお伝えします。
また、プロジェクトの進め方や開発での問題点、解決方法など、開発で得られた知見なども紹介いたします。

受講申し込み(無料)受付中!
Peatixでの受講申し込み(無料)を受付中です。
申し込み方法の詳細は、下記をご確認ください。
受講申し込みページ
(Peatix) https://peatix.com/event/1750894/view

※事前にPeatixのアカウントの作成が必要です。アカウントをお持ちでない方は、まずはアカウントの作成をお願いします。

CEDEC+KYUSHU 2020 ONLINEの全セッション情報が公開に



著者: “jp.gamesindustry.biz編集部 — jp.gamesindustry.biz

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