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8001!? 超絶技巧作「プラネットタイザー」の中村晋介氏が語る! –

Akane Yamazaki

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投稿者: ” — akiba-pc.watch.impress.co.jp

 「ハル研所長のパソコンミニ対談」第3回目のゲストは、工学社の月刊誌「I/O」、「PiO」に掲載されたPC-8001用(PCG対応)ゲーム「PLANET TAIZER」、「ノンバーラ・パニック」で同機のユーザーを大いに驚かせた中村晋介氏(以下中村氏)だ。中村氏は雑誌投稿者としてデビューした後、アーケードゲーム業界に進み、「ソニックウィングス」、「戦国エース」、「ストライカーズ1945」など名作を数多く手がけた筋金入りのゲームデザイナー。それだけに当時からゲーム作りへのこだわりはひとしお。三津原所長のプログラマ魂に火が付いて話はどんどんディープな方向へ……。

 なお、「PLANET TAIZER」、「ノンバーラ・パニック」とも、ハル研究所のPC-8001ミニチュア復刻版「PasocomMini PC-8001」に12月3日(火)公開のアップデートで追加インストールされる。往年の超絶技巧を味わいたい方は、ぜひ挑戦していただきたい。

中村氏(写真左)と三津原所長(写真右)

高校時代に作った「PLANET TAIZER」、「ノンバーラ・パニック」

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」と「ノンバーラ・パニック」、どちらが先に発表されたのでしょうか?

[中村氏]:「PLANET TAIZER」が先です。

[三津原氏]:最初に「PLANET TAIZER」を雑誌で見た時は、もの凄い衝撃を受けました。画面写真を見て、そもそもPC-8001で動いているとは思わなかった。パッと見た感じではPC-8801でも厳しいと思ったので、SuperMZ(MZ-2500)用か日立のS1用じゃないかと思ったほど。最初から凄いものを発表されましたけれど、これを投稿する前にもプログラムをたくさん作っておられたのですか?

[中村氏]:いえ、「PLANET TAIZER」を作りながら、マシン語を覚えた感じです。

[三津原氏]:何で、この界隈はスーパーマンが多いの!(笑)

[中村氏]:高校1年か2年でPC-8001を手に入れて、最初はBASICで遊んでいたのですが、PC-8001は関連文献が豊富だったので、マシン語も覚えることができました。

[三津原氏]:それは、周りの人から聞いたりして切磋琢磨しながら覚えたという感じですか?

[中村氏]:いえ。当時、周りにはいなかったですね。これを作った後にPC-9801が出て、そちらを買った友達はいましたけれど。

[三津原氏]:その時代になると、機種も多いですよね。周りに人がいなくても地道に覚えていけるタイプですか? それとも、元々電気系が得意とか?

[中村氏]:ゲームセンターが大好きで、ゲーム作りたいなーと思っていました。そのときに、パソコンがあれば作れるという話を聞いて、買いました。

[三津原氏]:買った時は、PCG(ハル研究所が開発した、テキストキャラクタ定義およびサウンド機能拡張ユニット)も一緒でしたか?

[中村氏]:PCGは、本体購入から程なくして買いました。

[三津原氏]:PCG8100ですか?

[中村氏]:はい。この、ちょっと大きなやつ。(PC-8001の底面に置くので、高さが若干増えるため)キーボードが打ちにくくなるヤツです(笑)。

[三津原氏]:かさ増し量が半端じゃないですからね(笑)。

[中村氏]:ええ(笑)。

株式会社ハル研究所取締役所長 三津原敏氏
PasocomMiniプロジェクトの仕掛け人にして、大のレトロパソコンフリークでもある。若かりし頃には多くの雑誌、書籍掲載プログラムを打ち込み、解析して腕を上達させ、職業プログラマの道へと進んだ

[三津原氏]:最初は、ゲームを遊ぶためにパソコンを買ったのでしょうか?

[中村氏]:友達には、ゲームを遊びたいから買った人がいましたけれど、プログラム組もうというのは私だけでしたね。

[三津原氏]:(最初に)プログラムを発表されたのは、何歳くらいでした?

[中村氏]:高校3年生なので、17歳か18歳です。

[三津原氏]:PC-8001を買ったのは?

[中村氏]:16歳か17歳だと思いますね。

[三津原氏]:買ってすぐに、こんな長いプログラムが作れるんですね。

[中村氏]:そうですね……とにかく、勉強するには資料が豊富だったので、それがPC-8001の良かったところです。

[三津原氏]:私は、いくら資料を見ても全然理解できませんでした(笑)。

[中村氏]:他の人よりはだいぶ後に始めたので、PC-8001に関しては資料が揃っていたのが幸いでした。PC-8001を買った途端に、PC-8801やPC-8001mkIIが出ましたけど。

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」に関しては、最初からこういうシューティングゲームを作ろうと考えて作業を始めたのですか?

[中村氏]:最初は、PCG-8100に付属するドットエディタでカッコイイ戦闘機や基地のようなものを描いたりしていましたが、それを動かしてゲームにしようと思い、少しずつ作業していきました。

[三津原氏]:作り始めてから完成するまで、何ヶ月くらいかかりました?

[中村氏]:あまり覚えていないですが、ほぼ1カ月か2カ月だと思うんですよね。

[三津原氏]:それでこれが作れるの!?

[中村氏]:当時ですから。

[三津原氏]:マシン語を覚えて、VRAMにキャラクタを表示して……から始めて、ここまで作ったということですよね?

[中村氏]:はい。本格的なゲームは、これが初めてでした。

[三津原氏]:初めてでこれは、凄いと言うしか……。

中村晋介氏
「PiO」1984年7月号に掲載された「PLANET TAIZER」と、「I/O」1984年9月号に掲載された「ノンバーラ・パニック」がゲーム投稿時代の代表作。「ノンバーラ・パニック」は、後にMZ-1500へも移植される。作品を投稿後は、京都にあったアーケードゲーム会社「ビデオシステム」に入り、そこで数々のゲームを手がけた

[中村氏]:「PLANET TAIZER」の前に、BASIC+ほんの少しのマシン語で、そのマシン語もスクロールさせるだけのルーチンですが……そんなゲームは作っていました。

[編集部]:それは、どこかに投稿しました?

[中村氏]:徳間書店の月刊誌「テクノポリス」に一度出しました。

[三津原氏]:見事、採用されました?

[中村氏]:はい。

[三津原氏]:おお! ということは、採用率100%の人に?

[中村氏]:電波新聞社の「マイコンBASICマガジン」に、オールマシン語のゲームを出してボツになったことが一度(笑)。

[編集部]:それ完全に、雑誌のコンセプトに反してますよね(笑)。

[中村氏]:その代わり、もの凄く短いダンプリストで、こんなに短くてもゲームが走るんだというのを目指して作ったのですが。

[三津原氏]:それは落ちるべくして落ちたと(笑)。ちなみに、「PLANET TAIZER」を作る上で参考としたゲームは、あれですよね?

[中村氏]:ナムコの「ゼビウス」ですよね。みんなが「ゼビウス」のようなものを作ろう、としてやっていましたし。

[三津原氏]:目標の一つでしたよね。でも、背景と地上物を分離しづらいPC-8001で、よく作りましたよね。

[中村氏]:そうですね。当時「ゼビウス」は、地上攻撃用と空中攻撃用の2ボタンでしたけれど、それではやりにくいし面倒だし、そういうのは止めよう、両方ともショットで倒しちゃえと。自分としては画期的だと思って作ったところ、その後はゲームセンターでわりとそういうゲームが増えてきて。

「PLANET TAIZER」は、アーケード版「スターフォース」のように、地上物と空中物の撃ち分けなしで進む、縦スクロールシューティングゲーム。本来、160×100ドットしか使えないPC-8001だが、当時PCG-8100という拡張ハードを使用することで多彩なキャラクターが表示出来たほか、最大3重和音も出力が可能だった

[編集部]:もしかすると、テーカンの「スターフォース」(1984年)より先かもしれませんね。

[中村氏]:「スターフォース」は見ずに作っています。

[編集部]:実は、“初の地上空中を打ち分けないゲーム”かも?

[中村氏]:みなさん、考えることは一緒だなと思いましたね。時期もほぼ同じでしたし。

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」に登場するキャラクターは、全部中村さんが?

[中村氏]:そうです。

[三津原氏]:モノクロとは言え、キャッチーな絵になっていますよね。だからこそ、PC-8001用タイトルと思わなかったんですよ。もしかして、PCGの内容を途中で書き換えてます?

[中村氏]:いえ、ほとんど書き換えていません。汎用で使えるキャラクターのパーツを多数作り、それを組み合わせて使っていますので、最初に定義したら書き換えていないと思います。

[三津原氏]:最初に、128キャラクターをポンと書き換えて、あとはそのまま?

[中村氏]:確か、そうだったと思います。

[三津原氏]:よく、これだけ表現力が高いキャラクターができましたよね。

[中村氏]:グラフィックエディタで遊ぶことから始まったんですよね。そこで、「ゼビウス」のような陰影を使ってキャラクターを描いてみようと思って作る→せっかく描いたから動かそう→動かしたからゲームにしよう、と、そんな感じですね。

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」が掲載された当時、PC-8001を持っていなくて、近年になってどこかで見られないかなと思って動画サイトを探し回ったんですよ。でも見つからなくて、このインタビューでも話題が出る80mkII会に参加したら、そこで動いていた。その完成度に本当にビックリしました。

PLANET TAIZERのゲーム画面

楽しめる工夫を仕込んだ麻雀ゲームなどを手がけたアーケードゲーム時代とは

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」と「ノンバーラ・パニック」を作ったあとは、すぐに就職されたんですか?

[中村氏]:はい。コンピュータグラフィックス系の短大に進学して、そこでアーケードゲームの会社・ビデオシステムでアルバイトがてら「ラビオレプス」を作りました。プログラムではなく、グラフィックと企画の担当でしたが。当時の、“同人ゲームっぽいゲーム”の先駆けですよね。

[編集部]:クセのあるゲームで、カルト的人気のある、ビデオシステムの代表作ですよね。

[中村氏]:あれはある意味、商業ベースに乗せてはいけない同人ゲームのノリでした(笑)。その後、「ソニックウィングス」や「スーパーバレー」を作ったりしていました。

[編集部]:“ボタン1つでできるバレーゲーム”という売り出し方をしていましたよね。

[中村氏]:あれ、売れましたね。「ラビオレプス」の前には、ゲームセンターの脱衣系2人麻雀もやっていました(笑)。その後は、彩京で「戦国エース」、「ガンバード」、「ストライカーズ1945」シリーズなどを手がけて、ずっとゲーム業界にいました。けれど、そのあとはゲーム業界があんまり思わしくなく、会社も潰れたりしまして……それで独立して、同人ゲームがネットで販売出来る市場があったので、そこでちょっとアダルト系に。今は、いろんな企画もののお手伝いなどをしています。

[三津原氏]:わりと長いことアーケードゲーム業界で活躍していたんですね。その頃はもう、趣味でパソコンは触らなくなったのでしょうか?

[中村氏]:そうですね。仕事でやり始めると、なかなか……。

[三津原氏]:私は仕事でやり始めた後でも、趣味のプログラムをしている人なのですけど、やはりそうはいかないですね(笑)。

[中村氏]:ちなみに、会社では「対戦麻雀ホットギミック」のゲーム設計も担当していたのですが、無駄自積を山に戻す仕組みで、後半になるにしたがって良い牌を自積れるようになっています。無駄自積が多いと、嫌じゃないですか。なので、コンピュータが自積切りだと判断したら山に戻す。この作業を、何巡目だったら何回戻す、というテーブルを作りました。最初の頃は、無駄自積もまあまあありなんですが、終盤になるに従いほぼ無駄自積がなくなっていく。

[編集部]:それは、コンピュータ側が?

[中村氏]:いえ、自分側が。「ホットギミック」は対戦麻雀なので、人対人で無駄自積があると嫌ですよね。なので、まったく関係ない自積切りになる牌は戻しちゃおうと。ただその中で、見た目は無駄自積だけれども戻さない牌というのもあり、それは相手のアタリ牌だったり、鳴く可能性のある牌など。そういう牌は無駄自積とみなさない、という感じで組んでいったところ、結果自分が進みたい役へ一直線でガンガン揃うように(笑)。オチとしては、清一色がものすごくやりやすくなりまして……無駄自積を戻していれば、当然そうなりますよね(笑)。

[編集部]:ということは、自積を即切りせず1巡回すと?

[中村氏]:手に、くっつきそうな牌があるなら無駄自積ではないので戻りません。なので、三色を作ろうと思ったら、その材料を残しておくとくっつきやすいです。

[編集部]:そういうルーチンもあるんですね。

[中村氏]:狙った通りになるので、結局最後は清一色に。

[三津原氏]:それはそれで、気持ちの良い麻雀が打てそうですよね。

[中村氏]:無駄自積を繰り返して流局になるよりは、どちらかが和がったほうが楽しいので。最初に出た対戦麻雀は「ファイナルロマンスR」でしたけれど、実は後から対抗して「対戦麻雀ホットギミック」を出すにあたって、大学のプロレス同好会に頼み、負けた方が変なプロレス技を食らうという罰ゲーム画面が表示される、という演出をしたんですよ(笑)。当時で言えば、同人ゲーム系のノリを前面に出す会社でしたから。それらを作る時にも、最初は紙の仕様書を作り“こういうゲームにしてください”としていたのが、「ソニックウィングス」からは“スクリプトを書きますので、スクリプトインタプリタを作ってください”と。それで敵の動きなどを全部スクリプトで書いていったことで、仕様書を書かなくて済むようになりました。

[編集部]:それにしても、「戦国ブレード」はホントに難しかったです。

[中村氏]:横画面というだけで避けるのが難しくなるんですけど、それでいて縦スクロールシューティング並みに弾が飛んできますので。

[三津原氏]:今回、「PasocomMini PC-8001」に収録された作品の作者の方々に話を聞いて回っていますけれど、中村さんは珍しくゲーム業界にいらっしゃいますよね。実は、ゲーム業界にいる人の方が探しにくいんです。八方手を尽くしたものの痕跡が見つからず、さあ困ったぞと。私は任天堂系列に知り合いが多いのですが、セガ系列やソニー系列にはあまり多くなく……そこでまたも80mkII会に「PLANET TAIZERの作者を知りませんか?」と打診したところ、その日のうちに「繋がっている人が知り合いにいます」という報告が届き、ようやく中村さんと繋がれました。ホント大変でした(笑)。

[中村氏]:「スーパーバレー」を一緒に作っていた人からの紹介でした。

今明かされる、「PLANET TAIZER」、「ノンバーラ・パニック」開発秘話

[編集部]:それにしても、「PLANET TAIZER」を初めて見た時には、PC-8001でPCGを使っているとはいえ、あの時代では異次元の超高速スクロールシューティングじゃないですか。信じられなかったです。

[中村氏]:実はこれ、スクロールしていないんですよ。地上物と横線が動いているだけです。

[三津原氏]:それ、マップのデータとかはどうしたんですか?

[中村氏]:地上物の配置データと横線がどんな感じで現れるかだけデータにして、それを流しています。

[三津原氏]:なるほど、背景をずっとスクロールさせているわけじゃないんですね。

[中村氏]:PC-88用の「アルフォス」を解説した記事がありまして、“PC-88でVRAM1枚とはいえスクロールなんか遅くてやってられないので、なるべく縦線や縦の道を描いて、所々ある横の道を移動させればスクロールしているように見える”と森田(和郎)さんが。実際、キャラクターベースとはいえバカ正直にスクロールさせると、やってられないくらい遅いんですよね。なので、そういう記事を参考にしました。

[三津原氏]:ホントに、諸先輩方の集大成を作ったという感じなんですね。工夫した部分は?

[中村氏]:一番工夫したのは開発環境ですね。PC-8001mkIIを使い、BASIC ROMの裏側にある領域にソースを入れて、全部を一発でアセンブルしてバイナリを吐き出す。それをやるのにキャリーラボさんの「BASE-80」を解析して、BASIC ROM内を呼んでいるところを全部リストアップ→パッチを当ててRAM/ROMを切り替えてから呼びに行く→その後に戻す、と全部書き換えました。自分が書いたプログラムじゃないし、こんなことをして動くのかなと思ったのですけど、それがバッチリ動いた時には感動しました(笑)。

[三津原氏]:「BASE-80」は、ニーモニックの表記が簡単ですよね。

[中村氏]:すごく分かりやすいです。

[三津原氏]:BASICライクに、“A=A+1”のような書き方ができるんですよね。“ADD A,1”とかそういうのではなくて。

[中村氏]:勝手に変換してくれるんですよね。

[三津原氏]:「ハイドライド」シリーズの作者であるの内藤さんも、BASEを使っているんですよね。おかげで、移植性が悪くて悪くて仕方なかったらしくて、各機種作り直しと言ってましたね。

[中村氏]:あー(笑)。私も移植時に、BASE-80から普通のザイログアセンブラに。

[三津原氏]:ちなみに、PC-8001用の「ノンバーラ・パニック」も「BASE-80」ですか?

[中村氏]:そうです。

「ノンバーラ・パニック」は、固定画面のアクションパズルゲーム。PCGに対応した美しいキャラクターが表示されるので、パッと見ではPC-8001用タイトルに思えないほど。難易度は若干高めな代わりに、クリアできたときの気持ちよさもひとしお

[三津原氏]:でも、MZ-1500に移植する時は変更したそうですけれど、「BASE-80」を使っていると普通のアセンブラ、ザイログのコードを忘れちゃいません?

[中村氏]:“これはこれに対応している”というのが分かりやすかったので、大丈夫でした。

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」、「ノンバーラ・パニック」どちらもPCGを使用してゲームを作っていますが、PCGを使わないゲームを作ったことは?

[中村氏]:ないですね。

[三津原氏]:絵から入るスタイルなのでしょうか?

[中村氏]:そうですね。160×100ドットはなかなか使いづらいので。

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」は、キャラクターを作ったのでゲームにしたとおっしゃいましたけれど、もしかして「ノンバーラ・パニック」も先にキャラクターありきでした?

[中村氏]:そうです。

[編集部]:「ノンバーラ・パニック」は、キャラが地味ですよね(笑)。

[三津原氏]:でも、色がキャラクターの上下で分かれているんですよ。アトリビュートの制御は自分でやっていたのですか?

[中村氏]:これは、以前に工学社の「マイコンゲームの本4」で掲載されていた、中村光一さんの高速カラールーチンです。スペースマウスも参考文献に入っていますが、こちらは芸夢狂人さんの発表した乱数ルーチンを使っているからですね。

[三津原氏]:ちなみに、「PLANET TAIZER」はカセットサービスをしていましたか?

[中村氏]:PCG専用タイトルは、カセットサービスをしてもらえなかったんです。

[三津原氏]:なんですって!(笑) もったいない……「PLANET TAIZER」なんて、絶対売れたと思うんですよね。

[中村氏]:当時も誰かにそんな感じのことを言われたような? あまりにも昔過ぎて覚えていませんが。

[三津原氏]:あれ?芸夢狂人さんのPCGタイトルも、カセットサービスされてないんでしたっけ?

[編集部]:されています。「LUNAR CITY SOS!!」であれば、「LUNAR CITY SOS!!」と「PCG LUNAR CITY SOS!!」の2本が存在します。PCGなし版もあったから大丈夫だったのかもです。

[三津原氏]:ところで、「PLANET TAIZER」の後に「ノンバーラ・パニック」を作っておられますが、この間はどのくらい空いていました?

[中村氏]:掲載号が7月号と9月号なので、かなり近いですね。「PLANET TAIZER」が終わってから、すぐに作ったはずです。

「MZ-1500活用研究」を見ながら、当時の思い出に花を咲かせる二人

[三津原氏]:「ノンバーラ・パニック」のMZ-1500版は?

[中村氏]:(自分で手がけましたが)音楽は別の人に作ってもらったと思います。

[三津原氏]:編集部からの依頼だったんですか?

[中村氏]:そうですね。MZ-1500とアセンブラを送ってもらい、移植作業をしました。当時、QuickDiskは速い! と思っていたのですが、送ってもらったアセンブラがソースを少しずつ読み込むタイプのヤツで……QuickDiskは全部読み込むのも、ちょっとリードするのも必ず8秒かかるから、分割されているのを読むと、ずっと待たないといけない(笑)。

[三津原氏]:高速なカセットテープみたいなものですしね、シーケンシャルアクセスですし。

[編集部]:MZ-1500は、元々PCGが載っているので移植しやすかったのでは?

[中村氏]:確かに移植しやすかったです。そう考えると、手がけたのはPCG対応作品ばかりですね。だから、ドット単位で動いたりスクロールしているのを見ると、すごいなと思います。

[編集部]:そういえば、「PLANET TAIZER」で気になるのは、なぜゲームの開始番地(マシン語を実行する際のスタートアドレス)が“ABCD”なんでしょうか?

[中村氏]:覚えやすいように(笑)。

[三津原氏]:狙って、この場所! とするのは面倒くさそうですよね。

[中村氏]:最初から決めてれば大丈夫です。というか、途中からでも“この番地にしよう”と思ったら、そこを空けておけばできます。

[編集部]:でも、「ノンバーラ・パニック」は全然違う番地。

[三津原氏]:“C9B0”です。

[中村氏]:それも、何か意味があるような気がしてきました(笑)。ちょっと覚えていませんが……。

[三津原氏]:そういえば、中村さん自体は、他の人のゲームを入力して遊んだことはあります?

[中村氏]:めちゃめちゃやってました。バックナンバーを友達から手に入れて、打ち込んでいました。今風太さんが活躍していた頃は一読者で、芸夢狂人さんの活躍していた頃をバックナンバーで知りました。

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[三津原氏]:「PLANET TAIZER」は、そもそもタイトルが格好いいなと思ったのですけれど、「PLANET TAIZER」の“TAIZER”はどんな意味ですか?

[中村氏]:単なる地名なんですよね、生まれ育った地名。京都府北部にある、京丹後市間人(きょうたんごし・たいざ)かな?

[三津原氏]:なぜ地名を付けようと思ったんですか?

[中村氏]:横棒(ちょうおん)にすれば、カッコイイかなと思ったので(笑)。

[三津原氏]:たいざ……タイザー、なるほど(笑)。ちなみに、「ノンバーラ・パニック」の“ノンバーラ”も?

[中村氏]:町かどうかは覚えていませんが、京丹後市乗原(のんばら)という地名からです。

[三津原氏]:中村さんが開発するゲームは、だいたい地元の地名が付く。

[中村氏]:今、「PLANET TAIZER」掲載号の原稿を読んでいたら、高校生らしいノリが……宇宙歴が8086年ですし、敵は惑星ナムカになってますね(笑)。どうみてもナムコですね。

[三津原氏]:「PLANET TAIZER」にも“ノンバーラ”は出てきますね。フデシーというのは?

[中村氏]:これも京丹後市後町筆石(ふでし)という地名で、侵攻していく惑星をドンドン並べていたのですが、それが近所の地名になってます。

[三津原氏]:アミノンも?

[中村氏]:それも近所です(笑)。京丹後市網野町(あみのちょう)。

[三津原氏]:これ、近所の人が見たら「あっ!?」と思いましたよね。地名は作りながら付けていったとして、ゲームのルールはいつ考えるんです?

[中村氏]:作りながらですね。

[三津原氏]:作りながら!?

[中村氏]:わりとそうですよ。

[三津原氏]:先に“こんなゲームを作ろう”があるのではなく?

[中村氏]:遊びながらです。作って遊びながら何かを加えていって、また作り足して遊びながらまた加えていって……と。

[三津原氏]:そういう作り方をすると、発表した時には他の人が遊べないくらいマニアックな作品になるケースが多いんですが……確かに、「ノンバーラ・パニック」は難しかったですが(笑)、でも、その辺のところがうまくいってるのは、何か気をつけていたことが?

[中村氏]:分かりやすくはしようと思っていました。ただ、バランスとしてはギリギリだと思います。実際に、ずいぶん経ってから自分でプレイすると、難しいと思いますから(笑)。ほかに、自分で遊んで楽しいものにするというのはこだわっています。

「PLANET TAIZER」「ノンバーラ・パニック」どちらも、中村氏が当時住んでいた京都府京丹後市近辺の地名が多数盛り込まれているそうだ

[三津原氏]:デバッグ以外では、だいぶやり込みます?

[中村氏]:はい。楽しくなるようにします。結果的には、難しくなりますが(笑)。

[三津原氏]:作った作品は、周りの人に遊ばせてフィードバックをもらったりもしました?

[中村氏]:それはなかったです。

[三津原氏]:ということは、難易度調整は自分が基準に?

[中村氏]:はい。仕方ないですよね、同じ機種を持ってないと遊べないですし。

[三津原氏]:高校時代、コンピュータ関連サークルには入っていましたか?

[中村氏]:高校の時は物理部があって、そこで顧問の先生がPC-8801を買ったので、それにみんな集まってました。その後しばらくしてPC-9801を買った友人がいたんですが、ゲームセンターの「パックマン」を見ただけで、いきなりマシン語でほぼそのまま移植したんですよ。その彼は凄いんですが、ゲーム作りはその後、何もしてないんですよね。

[三津原氏]:実は有名人だったり?

[中村氏]:そんなことはないのですが、センスだけで作っちゃう人がいるんだなあと思い、ちょっとビックリしました。

[三津原氏]:中村さんも「PLANET TAIZER」など、輝かしいタイトルを作っているかと。

[中村氏]:そうですね(笑)。

[編集部]:開発はPC-8001mkIIを使用したということですけれど、専用ソフトは何も作らなかったんですか?

[中村氏]:そうですね。ゲームでちょっと遊んだりはしましたけれど。

[三津原氏]:なぜ最初に、PC-8001を?

[中村氏]:最初は、VIC-1001(コモドール社)とPC-8001の2択だったんです。最終的には、参考資料が多いのと、有名なのでPC-8001に。

[編集部]:でも、買ったのはPC-8001mkIIだったんですよね?

[中村氏]:一番最初はPC-8001のPCGセットでした。

[編集部]:それで、途中でメモリが足りなくなりPC-8001mkIIに買い換えたんですね。PCGは共通でしたっけ?

[中村氏]:違います。

[編集部]:ということは、PCGも買い直し?

[中村氏]:買い直しました。当時、なぜお金があったかというと……お昼ご飯代としてもらっていた500円を、ほぼ食べずに貯めていました(笑)。

[編集部]:でも、一ヶ月で15,000円ですよね、1年で18万円にはなりますが……。

[中村氏]:ある程度、安くは買った気がするんですよね。PC-8001mkIIが出る直前の頃というのもありましたし。

[編集部]:お昼はどうしていたんですか?

[中村氏]:夜まで我慢ですよ(笑)。夏休みは、アルバイトで稼いでいました。

若き日の三津原所長が雑誌に掲載されたプログラムを見て抱いた疑問が、次々と中村氏にぶつけられた

コンテストに入賞して、海外視察に旅立ったことも

[編集部]:のちにPC-8001mkIIを買うわけですが、PC-8001と比べてメモリが倍増したことで、作業は捗りました?

[中村氏]:そうですね。長いプログラムが書けますからね。

[編集部]:あの時代の32kbytesと64kbytesは、そこまで違いますか。

[三津原氏]:しかも、一括アセンブルとおっしゃってましたよね。最初に設計して、狙ったものがポンと完成するのは分かるんですが、作りながら変更していくとこんがらがりそうです。

[中村氏]:マシン語を覚えながら作った「PLANET TAIZER」に関しては、わりとそうだと思います。

[三津原氏]:あれ? 掲載されている「PiO」の文章を読むと“3回にわけてアセンブラした”と書かれていますね。1つ目のプログラムが600行、2つ目が900行、3つ目が200行と書いてあります。

[中村氏]:それなら3つなのかな? でもなおさら、絶対に増設しただけのPC-8001では無理。裏RAM使って3回アセンブルなんて。

[編集部]:時期的に、FDDは使わなかったんですか?

[中村氏]:高速カセットインタフェースを使い、7,000ボーでやってますね。

[編集部]:7,000ボー! 信頼性はどうでした?

[中村氏]:わりと大丈夫でした。

[編集部]:PC-8001は基本600ボーなので、約12倍。12分のデータが1分で読めるとは、当時とすれば天国ですよね(笑)。

PC-8001は、カセットテープとのやりとりは600ボーで行われていた。大雑把な速度としては、1分間に約4kbytesほどの読み書きができる程度。これが7,000ボーでできたのだから、当時としては驚くべき速度だ。写真は、データを保存するために当時使われていた、データレコーダとカセットテープ

[中村氏]:それがなかったら、やってられないくらいでした(笑)。

[編集部]:7,000ボーの速さを一度、体感してみたいですね。

[三津原氏]:音がどう聞こえるのかも気になります。

[中村氏]:他に、「BASE-80」は一行に命令を複数書けるマルチステートメントが使えたので、スクロールさせることなく読めたのも便利でした。今となっては、マルチステートメントを使うと読みにくくなりますが、ざっと見られましたので。

[編集部]:当時は1画面内で、どれだけ見られるかでしたよね。

[中村氏]:そうです。

[三津原氏]:他に、当時と言えば何がありました?

[中村氏]:当時は、プログラムを組むのが楽しかったですね。

[三津原氏]:中村さんの場合は、絵を描くのも好きだし、相乗効果ですよね。

[中村氏]:まず、絵を描いて楽しいし、プログラムを書いても楽しい。

[三津原氏]:好物が2つですね(笑)。そのあたりのところで、凄い推進力があったということなんですね。

[中村氏]:結果的に、そういう業界へ進みましたしね。

[三津原氏]:でも、作るのは楽しいけれど、リターンが今ひとつだった(笑)。

[中村氏]:確かに、「ノンバーラ・パニック」がPCG専用なので、カセットサービスができないという感じのことを言われました気がします。カセットで売ることができなかったので、代わりに「MZ-1500活用研究」に移植版を載せてほしいと言われたような? 結果的に、「MZ-1500活用研究」が発売されて、そこに移植版「ノンバーラ・パニック」が掲載されたので、それで原稿料をもらいました。もちろん、「PiO」に載った「PLANET TAIZER」もページ単位で原稿料をもらいますから、これだけ長いのでそれなりに入りました。

[三津原氏]:「I/O」「PiO」のダンプリストは、「PLANET TAIZER」の2列だと長くなりますが、「ノンバーラ・パニック」の3行だと……。

[中村氏]:ページ数が少なくなるので、ちょっと厳しかったですね(笑)。

[三津原氏]:「ノンバーラ・パニック」は、“I/Oプログラム・コンテスト”があるから作ったのでしょうか?

[中村氏]:製作に取りかかっている時に、コンテストがあると知ったので、そちらに出したかと。

[三津原氏]:コンテストがあるから作ろうではなく、たまたまタイミングが合ったんですね。

[中村氏]:コンテストの2回目っぽいものがあったんですが、「ノンバーラ・パニック」をMZ-1500に移植する時に、コンテストへの応募という形にはしなかったんですけれど、こちらも入賞ということにしてもらいました(笑)。副賞がサンフランシスコ旅行だったので、他に入賞した二人と一緒にサンフランシスコに行きました。

[三津原氏]:一週間くらいですか?

[中村氏]:かな? 見てきたのはゲームショーかパソコンショーで、当時Appleの「Macintosh」が大々的に発売される時期ということで、それを見に行った感じですね。

[三津原氏]:戻ってきたら、レポートを書くんですよね?

[中村氏]:そうです。

[三津原氏]:今から「I/O」を探せば、そのレポートが出てきそうですよね。そういうページを見ていると、たまに「あれ、あの作者が書いている?」というのがありますし。

次回作はシューティング? アクション? 対戦麻雀!?

[編集部]:ところで、次回作はいつ出るんでしょうか? 「ノンバーラ・パニック」の最後に「今度のゲームは凄いぞ!」と書いてありますが(笑)。

[中村氏]:多分、何かを作っていたと思うんですが、途中で止めたんですね(笑)。

[三津原氏]:何用ですか?

[中村氏]:確かまだPCGで作ってたと思うので、PC-8001+PCGだったかと。

[編集部]:今の時代なら、ここにPCG(PasocomMini PC-8001)もあるし、新作どうですか? 「PLANET TAIZER2」なんて完成したら、当時のユーザーは涙を流して喜ぶと思いますが(笑)。今や、Windows上のエミュレータで開発出来てしまうので。

[三津原氏]:しかも今なら、コンパイラが使えるかもしれないですよね。

[編集部]:「ノンバーラ・パニック」は、「PLANET TAIZER」の続編でしたよね。

[三津原氏]:ということは、「ノンバーラ・パニック」で敵を退治した後の続編が必要かもしれませんね!

[編集部]:今度は麻雀?

[三津原氏]:原住民との麻雀!

[中村氏]:いやー、あまりにも大変なので(苦笑)。

【本日20時より緊急生配信】「PasocomMini PC-8001」冬の大型アップデートを三津原所長が語る!

 本日(12月3日)、「PasocomMini PC-8001」の大型アップデートが発表されました。この対談でも話題に上った「PLANET TAIZER」、「ノンバーラ・パニック」が追加されるなど、見逃せない内容です。これを記念し、ハル研究所取締役所長・三津原敏氏と、PasocomMini PC-8001開発担当ディレクターの郡司照幸氏をお招きして、このアップデートの詳細について伺う生配信を本日20時よりお届けします! 「PLANET TAIZER」、「ノンバーラ・パニック」のプレイデモやアップデート手順解説、PasocomMini PC-8001に関しての質問コーナーなど、盛りだくさんの内容でお届けする予定です。司会は「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・マイコン」たちの佐々木 潤氏です。

ハル研所長のパソコンミニ対談 連載一覧



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ゲーミング

西川善司の3DGE:RTX 2080 SUPER超えのミドルクラスGPU「GeForce RTX 3060」とノートPC向けGeForce RTX 30のポイントはどこに?

Akane Yamazaki

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 既報のとおり,北米時間1月12日,NVIDIAは,デスクトップPC向けのミドルクラスGPU「GeForce RTX 3060」や,ノートPC向け「GeForce RTX 30」シリーズなどを発表した。本稿では,発表内容をもとに,新GPUの詳細を解説してみよう。

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NVIDIA,Ampere世代のミドルクラスGPU「GeForce RTX 3060」や,ノートPC向け「GeForce RTX 30」シリーズを発表


 北米時間2021年1月12日,NVIDIAは,CES 2021に合わせて開催した独自イベント「GeForce RTX: Game On」で,デスクトップPC向けのミドルクラスGPU「GeForce RTX 3060」と,Ampereアーキテクチャ世代では初のノートPC向けGPU「GeForce RTX 30」シリーズを発表した。


[2021/01/13 02:56]

GA106コアを採用するGeForce RTX 3060の仕様を予測する

GeForce RTX 2060 Founders Edition
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 2018年にNVIDIAは,リアルタイムレイトレーシング技術と,その対応GPUとなる「GeForce RTX 20」シリーズをリリースし,2020年末には,同技術に対応する新世代ゲーム機として,PlayStation 5とXbox Series X/Sが登場した。ただ,今後のゲームグラフィックスにおいて積極的なレイトレーシング活用が幅広く広がるためには,ハイエンドPC向けGPUや最新の据え置き型ゲーム機だけでなく,ミドルクラスPC向けGPUにも対応製品が登場することが望まれている。
 もちろん,2019年にはメーカー想定売価349ドル(当時)の「GeForce RTX 2060」が登場している。だが,ことリアルタイムレイトレーシングについては「なんとか対応しました」という程度で,本格的にゲームで活用するには性能的に少々物足りないものだった。

 今回発表となったGeForce RTX 3060の場合,GPUコア自体は開発コードネーム「GA106」というもので,「GeForce RTX 3080」に使われたハイエンドモデルである「GA102」や,「GeForce RTX 3070」および「GeForce RTX 3060 Ti」のGPUコアである「GA104」と同様に,Samsung Electronicsの8nmプロセスで製造されるものだ。本稿執筆時点でトランジスタ数は明らかになっていないが,ひとつ上のGA104が174億個なので,それよりは少ないと予想できる。GA102とGA104のシェーダコア(CUDA Core)数比から想定すると,GA106は110億個に近い値になりそうだ。
 GeForce RTX 3060について本稿執筆時点で明らかになっている項目を挙げると,CUDA Core総数が3584基で,GPU定格動作クロックが1.32GHz,GPU最大動作クロックは1.78GHzとなっている。CUDA Core理論性能値は13 TFLOPSで,レイトレーシング性能値は25 RT-TFLOPS,推論アクセラレータ「Tensor Core」の理論性能値は101 TensorFLOPSであるという。そのほかに,メモリインタフェースは192bitで,GDDR6メモリを最大12GB搭載するといった情報が明らかになっている程度だ。

NVIDIAが公開したGeForce RTX 3060 TiおよびRTX 3060の仕様
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 そのため,今のところはこれだけの情報から,それ以外の推測するしかない。まずはSM数だが,NVIDIAのAmpereアーキテクチャは,Streaming Multiprocessor(以下,SM)1基あたり,128基のCUDA Coreを統合する構成なので,GeForce RTX 3060のCUDA Core総数が3584基ということは,SM数は28基ということで間違いない。

  • 128 CUDA Core×28 SM=3584 CUDA Core

 続いて,NVIDIAのGPU内にあるミニGPUクラスタ「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)がいくつなのかだが,これは数字からの推測が難しい。先代のGeForce RTX 2060(TU106)系のGPC数は3だったので,今回も同じくらいである可能性は高い。しかし,仮に3だったとしても,SM数の28基は3で割り切れない値だ。

先代TU106のブロックダイアグラム
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 ただ,先代TU106がそうだったように,GPC 1基あたりのSM数を10だと仮定すると,

  • 128 CUDA Core×10 SM×3 GPC=3840 CUDA Core

といった具合に,フルスペック版GA106の姿を想像できるようになる。つまりGeForce RTX 3060は,GPC 1基からSMを2基分だけ無効化したGPUというわけだ。メモリインタフェースが192bit(=64bit×3)という公開情報や,先代TU106の進化系という整合性もあるし,後述するノートPC版GeForce RTX 3060が,まさにCUDA Core数3840であり,リアリティのある予測と言えそうだが,絶対正しいという確証はない。
 仮に,GPCが4基構成だとすれば,

  • 128 CUDA Core×8 SM×4 GPC=4096 CUDA Core

という計算が成り立つ。この場合,GeForce RTX 3060は各GPCでSMを1基ずつ無効化したGPUとであると推測できるわけだ。ただ,この場合,フルスペック版GA106のメモリインタフェースは256bit(=64bit×4)でないと不自然な気もする。とはいえ,先代TU106は,GPC 3基構成でメモリインタフェースが256bitだったので,GPC数とメモリインタフェースの仕様は,最近では相関関係に欠けていたりもするのだが。
 いずれにせよ,GeForce RTX 3060はGA106のフルスペック版ではない可能性が高い。そうなると,いずれは「GeForce RTX 3060 SUPER」のような上位モデルが出る可能性はありそうだ。

 さて,GeForce RTX 3060の理論性能値である13 TFLOPSは,1CUDA Coreが1クロックで積和算(Fused Multiply-Add,FMA,2 FLOPS)を演算できるので,以下の計算で導き出せる。

  • 3584 CUDA Core×1.78GHz×2 FLOPS≒12.76 TFLOPS

 公称値は,やや繰り上げた値というわけだ。ただ,これでも,Turing世代の「GeForce RTX 2080 SUPER」(11.15 TFLOPS)を超えて,「GeForce RTX 2080 Ti」(13.45 TFLOPS)に迫るほどだからすごいことだ。

 リアルタイムレイトレーシング性能の「25 RT-TFLOPS」についても,少しだけ説明しておこう。
 RT-TFLOPSとは,NVIDIA独自のレイトレーシング性能指標値で,以前は「RTX-OPS」と呼ばれていたものだ。これは「GeForce GTX 1080 Ti(理論性能値11.3 TFLOPS)のプログラマブルシェーダでRT Coreの処理を再現した場合,1.1G Rays/sのレイ投射性能が得られる」というかなり強引な解釈のもとに,GeForce RTXシリーズのレイトレーシング性能を数値化したものである。なお,RT-TFLOPSの計算方法については,こちらの記事にある「解明!? RTX-OPSの謎」を参照してほしい。

 Tensor Coreの理論性能値である「101 TensorFLOPS」とはどういう意味があるのか。
 AmpereアーキテクチャのGPUでは,推論アクセラレータであるTensor Coreは,SM 1基あたり4基あるので,総数はSM数×4となる。つまり,GeForce RTX 3060ではTensor Core総数が112基になる。
 そのうえで,AmpereアーキテクチャのTensor Coreでは,1基あたり16bit半精度浮動小数点(FP16)数の積和算を1クロックあたり128並列で計算可能だ。ということで計算式はこうなる。

  • 112基×1.78GHz×128並列×2 FLOPS≒51.11T TensorFLOPS

 「NVIDIAの公称値は,2倍の101T TensorFLOPSじゃないか?」というツッコミはごもっとも。ここで計算した値は,行列要素のすべてに実数値がある行列での演算性能を表したものだ。一方,NVIDIAの公称値である101T TensorFLOPSは,実効性能が2倍になる疎行列(※行列要素の半分がゼロ値)の理論性能値を示しているためだ。

メモリバス帯域幅やROP性能はGeForce RTX 2060並みか

 演算性能でGeForce RTX 2080 SUPERを超えたGeForce RTX 3060は,搭載カードの想定売価が329ドルで,2月下旬に発売時期となるそうだ。発表時の価格が699ドルだったGeForce RTX 2080 SUPERの半分以下という価格は,とてもお買い得なのは間違いない。とはいえ,上位モデルとなるGeForce RTX 3060 Ti以上とは,メモリバス帯域幅に格差があるのだ。

 GeForce RTX 3060は,グラフィックスメモリとして容量12GBのGDDR6を採用する。これは,上位機であるGeForce RTX 3060 Tiの8GBはおろか,GeForce RTX 3080の10GBよりも多い。しかし,GeForce RTX 3060のメモリインタフェースは192bit止まりで,GeForce RTX 3080の320bitはもちろんのこと,GeForce RTX 3060 Tiの256bitと比べても見劣りする。
 GeForce RTX 3060のメモリ帯域幅はメモリクロック14GHz相当のGDDR6を採用した場合は336GB/s,15GHz相当で360GB/sとなるため,このスペックは,先代のGeForce RTX 2060と変わらない。GeForce RTX 3060の演算性能は先代比で2倍以上に高まったが,メモリバス帯域幅はほとんど変わらないのだ。

 また,レンダリングしたグラフィックスをメモリに書き込む処理を担当するROP(Rendering Output Pipeline)についても,総数は明らかになっていない。GeForce RTX 3060 Tiと同等の80基となっていればよいが,GeForce RTX 3060はメモリインタフェース幅が192bitなので,192bit幅のGeForce RTX 2060と同じ48基のままとなる可能性も高い。

 グラフィックスメモリのメモリバス帯域幅が向上していないことや,ROP数が多くないことが何に響くかというと,4K解像度(3840×2160ドット)への対応が難しくなることだ。実際,NVIDIAも「GeForce RTX 3060は,リアルタイムレイトレーシングを活用したフルHDゲーミングに最適である」とアピールしている。

NVIDIAが,GeForce RTX 3060の性能をGeForce RTX 2060およびGeForce GTX 1060と比較したスライド。テスト解像度は1920×1080ドットだ
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 ただ,「GeForce RTX 3060で4K解像度でのゲームプレイは非現実的なのか」というと,そうでもない。NVIDIAのアンチエイリアシング&超解像技術「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)を活用する手がある。
 DLSSは,GeForce RTXシリーズのTensor Coreを使って,アンチエイリアシング処理を行ったり,レンダリング映像の解像度にアップスケールする処理系のことだ。詳しい説明は過去記事を参照してほしいが,GPUとして描画する解像度は1920×1080ドットや2560×1440ドットであっても,表示時にDLSSで超解像処理を行うことで,4K解像度表示を行うことができる。ゲーム側の対応が必須であるし,リアルな4K描画でもないが,その点を妥協すればGeForce RTX 3060でも4Kゲーミングは楽しめるだろう。

NVIDIA版「Smart Access Memory」が始動

 GeForce RTX 3060がらみで,もうひとつホットトピックなのは「Resizable BAR」だ。
 結論から言ってしまうと,これは,AMDがRadeon RX 6000シリーズ固有の機能として発表した「Smart Access Memory」と完全に同じ機能になる。詳細はRadeon RX 6000の詳報を参照してほしいが,本稿でも軽く解説しておこう。

 CPUから,GPUの制御下にあるグラフィックスメモリへのデータ転送は,PCI Express(以下,PCIe)の機能を使って行うのだが,これまでCPUは,グラフィックスメモリの全域に対して直接的なアドレス指定によるメモリアクセスはできなかった。複数のインデックスを組み合わせて,最長4096byte単位でのアクセスしかできなかったのだ。インデックスの組み合わせは16bit長(0〜65535)となっているため,CPUからは256MB(=4096byte×65536)サイズの範囲しかアクセスできないことになる。
 つまり,従来はCPU〜GPU間のデータ伝送は,最大256MBサイズの窓を通して,GPUが管理するグラフィックスメモリ空間上の必要なアドレスにリレー転送を行っていたのだ。

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 ところで,GPUなどのPCIeに接続されたデバイスは,I/O空間をCPUが管理する物理メモリアドレス上に持つMemory mapped I/O(以下,MMIO)の仕組みを持ち,その情報はベースアドレスレジスタ(BAR)で管理されている(関連リンク)。Smart Access MemoryとResizable BARは,BARを64bitアドレスで設定して,サイズも必要に応じて変更できるようにする仕組みなのだ。
 つまり,Smart Access MemoryやResizable BARを使うことで,256MBの枠を取り払うことが可能となり,CPU側からGPU管理下のグラフィックスメモリ空間にデータを直送できるようになる。256MB単位でのリレー配送も不要になるのだ。

 そこで気になるのは,どんなときにResizable BARのメリットが得られるかだが,基本的に,CPUからGPUへ何かしらのデータを伝送するときにはすべて効く。ゲームやアプリケーション側がResizable BARに対応する必要もなし。DirectX 11だろうがDirectX 12だろうが,APIの違いも関係ない。これは,CPUからGPUに何かしらのデータを伝送するときにGPUのドライバソフトが関わる処理系であれば,すべてにおいてResizable BARが利用されるためだ。このあたりの特性もSmart Access Memoryとまったく同じである。

 さて,どのNVIDIA製GPUがResizable BARに対応するのかだが,NVIDIAは「Resizable BARの仕組みは,GeForce RTX 30シリーズからの対応となる」と説明している。最初はGeForce RTX 3060からスタートして,続いて後述するノートPC版GeForce RTX 30シリーズ,最後に既存のGeForce RTX 30シリーズも対応するという。既存のGeForce RTX 30搭載グラフィックスカードをResizable BARに対応させるには,GPUのBIOS(VBIOS)の更新とマザーボードのBIOS更新の両方が必須とのことなので,詳細は続報を待つ必要がある。
 対応版VBIOSやBIOSの具体的な提供時期は明らかになっていないが,「Coming Soon」だそうなので,それほど待たされずに登場するようだ。

 ちなみに,AMDのSmart Access Memoryは,CPUとGPUがともにAMD製である必要があったが,NVIDIAはResizable BARが,「AMDのCPUとIntelのCPUの両方に対応する」と強調していた。AMDは自社製品で囲い込む戦略を取ったが,NVIDIAは逆にオープンなスタンスを取るわけだ。

ノートPC版GeForce RTX 30シリーズ登場

Max-Qは第3世代へと進化

 続いては,ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズの発表を振り返ってみよう。まず,同シリーズ搭載ノートPCは,早いものだと1月下旬から発売となるそうだ。

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 今回発表となったのは,「GeForce RTX 3080」「GeForce RTX 3070」「GeForce RTX 3060」の3製品。製品名はデスクトップPC向けGPUと同じ名前だが,仕様はだいぶ異なっている。

ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズの主な仕様
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 ノートPC向けのGeForce RTX 3080は,CUDA Core数が6144基で,動作クロックは1245MHz〜1710MHz,グラフィックスメモリはGDDR6の容量8GB,もしくは容量16GBとなっている。デスクトップPC版(CUDA Core数8704基,1440〜1710MHz)に比べると,CUDA Core数はかなり少なく,動作クロックもやや控えめだ。
 ただ,グラフィックスメモリ容量は話が別で,8GBモデルはデスクトップPC版の容量10GBよりも少ないが,16GBモデルの場合は逆に多い。理論性能値は21.01TFLOPSで,デスクトップPC版よりも当然ながら控えめだ。

 デスクトップPC版のGeForce RTX 3080は,GPUコアに「GA102」を採用していたが,ノートPC版のGeForce RTX 3080は,デスクトップPC版GeForce RTX 3070と同じ「GA104」を採用していると思われる。というのも,CUDA Core数6144基は,フルスペック版GA104の仕様と合致するからだ。

  • 128 CUDA Core×12 SM×4 GPC=6144 CUDA Core

 おそらくだが,フルスペック版として動作できるGA104を選別してノートPC版GeForce RTX 3080として採用しているのだろう。

NVIDIAが公開したノートPC版GeForce RTX 3080の性能指標。解像度2560×1440ドットでの結果だ
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 次に,ノートPC向けのGeForce RTX 3070は,CUDA Core数が5120基で,動作クロックは1290MHz〜1620MHz,グラフィックスメモリはGDDR6の8GBとなっている。こちらもデスクトップPC版(5888基,1.5〜1.73GHz)と比べると,CUDA Core数は少なく動作クロックも控えめだ。ただ,グラフィックスメモリ容量は同等である。
 理論性能値は16.59TFLOPSで,こちらもデスクトップPC版より低い。おそらくGPU自体は,デスクトップPC版のGA104そのものを採用しているものと見られるので,GA104が持つ12基のSMから2基分を無効化して,

  • 128 CUDA Core×10 SM×4 GPC=5120 CUDA Core

になっているものと見られる。

 最後のノートPC向けGeForce RTX 3060は,CUDA Core数が3840基で,動作クロックは1283MHz〜1703MHz,グラフィックスメモリはGDDR6の容量6GBとなっている。デスクトップPC版(3584基,1.32〜1.78GHz)と比べて,CUDA Core数は逆に多いのだが,動作クロックは控えめで,グラフィックスメモリ容量も半分になっている。
 理論性能値は13.01TFLOPSなので,わずかにノートPC版のほうが高いことになるが,ノートPCの場合は,放熱設計によって最大性能が変わるので,実効性能ではどうなるかはPCの設計次第だ。それにしても,CUDA Core数が3840基ということは,デスクトップPC版の説明で推測したGPC 3基構成のフルスペック版GA106そのものなのだろうか。

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 ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズの発表では,第3世代「Max-Q」も発表となっている。Max-Qとは,薄型軽量フォームファクタのノートPCに,高性能なGPUを搭載するためのプラットフォーム名であり,技術の名前だ。

 簡単に説明すると,Max-Qとは,薄型軽量ノートPCにおけるTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の範囲内に収まるように,GPUの消費電力と発熱を抑えながら可能な限り高い性能を発揮できる電圧と動作クロックで動かす技術である。有り体に言えば,GPUが持つ最大性能を引き出すのは最初から諦めて,薄型軽量ノートPCで可能な消費電力に収まる枠内で消費電力対処理性能比を高めることを狙った技術,とも言える。

 第3世代Max-Qの要素技術として,NVIDIAは,「Dynamic Boost 2.0」と「Whisper Mode 2.0」を紹介している。
 まず「Dynamic Boost2.0」は,進化系Dynamic Boostに相当する。先代のDynamic Boostは,PCで動作しているアプリケーションがCPUとGPUのどちらに負荷をかけるかを監視して,より高い負荷がかかるプロセッサのほうに電力予算(≒発熱予算)を割り当てる制御を行う技術だった。Dynamic Boost2.0では,その制御対象にグラフィックスメモリを組み入れたものである。なお,メインメモリは制御対象ではない。

Dynamic Boost 2.0のイメージ
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 2つめのWhisper Mode 2.0も,進化系Whisper Modeで,ノートPCでゲームを動作させたときの性能を,冷却ファンの騒音量(dB値)を基準として制御するものだ。なお,ノートPC側に専用の騒音センサーを取り付けているというわけではなく,NVIDIAとノートPCベンダーが,事前にノートPCの全体冷却性能に見合った各ゲームごとの動作設定をプロファイルとして定義している。
 NVIDIAの説明によると,プロファイルは,eスポーツ系の競技性の高いゲームはフレームレート重視でグラフィックス品質は控えめ,シングルプレイ向けのシネマティックなゲームではフレームレートよりもグラフィック品質を高めにするという設計方針で作り込んであるそうだ。

 なお,2.0で追加,あるいは変更となった部分についてNVIDIAは,「CPUやGPUの性能,システム温度,ファン速度といったパラメータをAIベースの技術で制御するように進化した」と説明している。AIベースとはいえ,Whisper Mode 2.0の実行にTensor Coreが必要ということはなさそうで,事前のプロファイル設計にAI技術を活用したということのようだ。

 このほかにもイベントでNVIDIAは,操作遅延計測機能「NVIDIA Reflex Latency Analyzer」(以下,RLA)を搭載する新しいゲーマー向け液晶ディスプレイ製品が,2021年にも各メーカーから登場することも告知した。
 RLAとは,遅延計測ツール「LDAT」に相当する機能のことだ。

RLAの機能を備えたゲーマー向け液晶ディスプレイの新製品
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 RLA自体は2020年9月に発表されたばかりだが,2021年内に8社から計9機種のRLA搭載ゲーマー向け液晶ディスプレイ製品が発売される見込みだという。非常にマニアックな製品だが,競技性の高いゲームのプレイに真剣に取り組んでいるゲーマーやプロチームが増えている昨今では,こうした製品へのニーズが高まっているのかもしれない。

こちらはRLAに対応するゲーマー向けマウス。といってもハードウェア的に特別な仕様は必要なく,既存製品でも対応は可能だ
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 今回,NVIDIAはGPUのロードマップに関する話題に言及しなかったが,筆者としては,GeForce RTX 3080やGeForce RTX 3090で使われたGA102のフルスペック版(CUDA Core数10752基)が製品として登場するのかが気になっている。GA104は,ノートPC版GeForce RTX 3080としてフルスペック版が登場したので,同じGPUをデスクトップPC向けとしてリリースすることにも期待がかかる。ノートPC版のGeForce RTX 3060として登場したフルスペック版GA106が,デスクトップPC向けに提供されるかどうかも気になるところだ。

 GeForce GTXシリーズに存在した「50」型番が,「GA107」としてGeForce RTX 30シリーズに登場するという噂が流れているものの,実現するだろうか。こちらはTU106系(※GeForce RTX 2070など)のリネーム製品となる可能性も否定できないが,いずれにせよNVIDIAは,AMDに先駆けて,リアルタイムレイトレーシング対応GPUの上から下までを第2世代GeForce RTXで揃えてくるだろう。
 対するAMDも,リアルタイムレイトレーシング対応のRadeon RX 6000シリーズで下位モデルの展開を予定していると聞くので,ミドルクラスでのNVIDIA対AMDの対決も面白くなりそうである。

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ゲーミング

ASCII.jp:EPOS バーチャルイベント「The Power of Audio in Gaming」のご招待

Akane Yamazaki

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2021年01月18日 17時15分更新

文● EPOS Japan株式会社

EPOS Japan株式会社
業界のリーダーとEPOS開発チームは、2021年以降のゲーミングオーディオに関する洞察を共有します。

デンマーク、コペンハーゲン – 2021年1月18日 – プレミアムオーディオブランドEPOSは、メディアやゲームファンのための初のバーチャルイベント “The Power of Audio in Gaming” を開催いたします。こちらのイベントでは、オンラインにてEPOSをはじめとするビデオゲーム音響業界の主要な代表者が語るゲーミングオーディオの未来の舞台裏をお届けします。EPOSのイベント「The Power of Audio in Gaming」の開催日時は、日本時間1月27日(水)午後6時 / 1月28日(木)午前3時で、計2回の開催です。


イベントでは、EPOSファン、報道関係者様、ゲーマー、オーディオファンの皆様に、「ゲームにおける臨場感あふれるオーディオの重要性」や、それがオーディオ機器の開発にどのような影響を与えているかについて、ゲストスピーカーからのお話をお聞きいただけます。

また参加者は、脳がどのようにオーディオを解釈しているのか、そしてEPOSがどのようにこの知識を活用しているのかについて、115年以上の経験をもとにしたゲームのオーディオ体験をさらに向上させるためのEPOSの考えを知っていただけます。さらにゲーミングオーディオ業界の著名人によるパネルディスカッションでは、2021年以降の業界の未来についてライブで議論を展開する予定です。

当日アジェンダはこちら

ウェルカムスピーチ – Jeppe Dalberg-Larsen, EPOS プレジデント
15分間 Keynote “Brain Hearing – How the Brain Processes Sound”(脳はどのように音情報を処理しているのか?) – Jesper Kock – 研究開発長
専門家パネルディスカッション “What Does the Future Hold for Audio in Gaming?”(ゲーミング音響の未来について) – 5名の業界専門家が、ジャーナリストのDavid Guldagerと共にディスカッション
15分間 Keynote EPOS製品開発担当より “Unleashing the Power of Audio in Gaming”(ゲーミングオーディオの可能性を開放する為に) – Andreas Jessen – ゲーミング部門シニアディレクター
最後に – Maja Sand-Grimnitz ゲーミング部門グローバルマーケティング責任者

※イベント時のライブ通訳は、日本語、フランス語、ドイツ語で提供されます。

EPOSのゲーミング部門グローバルマーケティング責任者であるMaja Sand-Grimnitz氏は、次のように述べています。「EPOS in Gamingの初のイベントに、メディアやゲーム、オーディオの愛好家の皆様をお迎えできることを嬉しく思います。ゲーム業界をリードする専門家とゲームにおけるオーディオの未来について議論し、私たちの情熱、知識、エキサイティングな新作を、世界的に予断を許さない状況の中、ご自宅にいながらにして皆様と共有できることを楽しみにしています。」

イベントへの参加に興味のある報道関係者様や視聴希望者は、EPOSの公式ランディングページにアクセスし、イベントへの参加登録を行うことができます。イベントは、日本時間1月27日(水)午後6時 / 1月28日(木)午前3時の、計2回に渡り開催されます。

“The Power of Audio Gaming”に関する詳細は、EPOSオフィシャルサイト、もしくは公式ランディングページをご覧ください。

▶︎The Power of Audio Gaming
https://www.eposaudio.com/ja/jp/thefutureofaudioingaming

■ EPOS(イーポス)について
EPOSは、ビジネス・プロフェッショナルやゲーム・コミュニティ向けのデバイスを開発・販売するオーディオ/ビデオソリューション企業です。先進技術を基盤とし、デンマークを拠点としたEPOSは、設計、技術、性能を最も重要なパラメータとして、高性能なオーディオ、ビデオ・ソリューションを提供しています。

Sennheiser electronic GmbH & Co. KGとDemant A/S の合弁事業であるSennheiser Communicationsの事業部門展開で設立されたのがEPOSです。新しい自社ブランドの製品ラインの導入に加え、EPOSは「EPOS I SENNHEISER」として共同ブランド化された、現在のSennheiser Communicationsの製品ラインの設計、製造、販売も行っています。

EPOSは、世界をリードするオーディオ/聴覚技術グループであるDemant A/Sグループの一員であり、 イノベーションとサウンドにおいて115年以上の実績があります。

デンマークのコペンハーゲンに本社を置くEPOSは、30か国以上にオフィスとパートナーを抱え、グローバル市場で事業展開しています。

詳しい情報は https://www.eposaudio.com/ja/jp をご確認ください。

EPOS グローバルPR お問い合わせ先:
Poppy Byron
[email protected]

EPOS Gaming Japan 広報担当お問い合わせ先:
[email protected]



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ゲーミング

リドリー・スコット監督、EpicのパロディCMを「映像は素晴らしいがメッセージが平凡」とコメント –

Akane Yamazaki

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FREEFORTNITE

Epic Games

Epic Gamesが人気ゲーム「フォートナイト(Fortnite)」につきアプリ内購入ガイドライン違反のアップデートをしたことを受けて、アップルはApp Storeから削除。それを予期していたかのようにEpicはすぐさま「Nineteen Eighty-Fortnite」なる動画を公開しました。

この動画の元ネタであるアップルのテレビCM「1984」を手がけたリドリー・スコット監督が「メッセージが余りにも凡庸だ」とのコメントを発表しています。

元々の「1984」はアップルが初代Macintoshを発表する直前に、当時のコンピューター市場で支配的な立場にあったIBMをジョージ・オーウェルの小説「1984」の独裁者ビッグブラザーに見立て、自らを独裁からの解放者、自由の担い手と印象づけようとするCMでした。共同創業者スティーブ・ジョブズ氏が「素晴らしい」と激賞したとの証言も残されています

EpicのCMはこの構図を裏返し、アップルを独裁者、フォートナイトを自由をめざす解放者として描く内容。それとともに特設ページ「#FREEFORTNITE」を立ち上げ、SNSでのApp Storeに対する反対運動への参加を呼びかけています。

さて「エイリアン」や「ブレードランナー」で知られる巨匠リドリー・スコット監督は、米IGNのインタビューでEpicのパロディCMをどう思うかを語っています。

スコット監督はEpicのリメイク版を見たことがあるかと尋ねられ「確かに見ました」と回答。そればかりか自分のCMを1ショットごとにコピーしてくれたことを光栄だと感じたため、手紙を書いたことを明かしています。

その一方で「メッセージがあまりにも酷くて残念でした」と不満を表明。「彼らは民主主義やもっと力強いテーマを語ることができたはずなのに、メッセージがあまりにも凡庸なのは残念だ……」とも付け加えています。アニメーションやアイディアは素晴らしく、メッセージは「えっ」となったとのことです。

「#FREEFORTNITE」での主張は「Appleは皆さんの決済の30%を徴収するために、決済価格を高いまま保持しようとしています。そしてフォートナイトをブロックし、Epic ディレクトペイメントによる割引の恩恵を皆さんが受けられないようにしています!」ということでお金の話しかしていません。Epicが本当に求めていたサードパーティ製アプリストア開設の自由も、アップルが暴露するまでは明かされませんでした

とはいえ、Epicの動きに触発されて、ロシア議会でもApp Storeの手数料率を引き下げサードパーティ製ストアの許可を強制する法案が提出されました。メッセージが平凡だけに多くの人々に理解もしやすく、アップル包囲網は今後も広がっていくのかもしれません。

Source:IGN



著者: ” — japanese.engadget.com

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